株式会社サヤトレの増田です。
本日は「早さor質」をテーマにお届けします。
現在、日本では新型コロナウイルスのワクチン接種が少しずつ進み始めています。
ワクチン接種を予約する際に使うのがネットの予約システムです。
このメルマガを読んでいる方は、自分で予約出来ると思いますが高齢の親や家族は、予約出来ますか?
ネットを使ったシステムを使えない人やハードルが高い方も日本に多いのが実情です。
ワクチンに関しては、分からない人が周りにいた場合には、手伝ってあげてください。
そんなワクチンの予約システムですが架空の適当な番号を入れたとしても予約出来てしまう不具合(仕様設計?)が発生しているらしくニュースになっています。
本日は、ITシステムを作っている私目線、今回のワクチン予約システムに関して感じる個人的な意見をお届けします。
IT企業目線として、参考になれば幸いです。
まず最初にお伝えしたい事実があります。
ITのシステムを構築において・・・
「早さ」と「質」はトレードオフです。
リリースの早さを重視するのであれば、質は、落とさないといけません。
その逆に完璧を目指して質の高いシステムを作るのであれば、リリースまでの早さを捨てなければなりません。
どちらに重きを振り分けるかは、管理者側であり、国の判断です。
そして私個人の意見になりますが、今回のワクチン予約システムに関しては、「質」よりも「早さ」を重視した方が日本にとってリターンは大きくなる。
そう考えています。
よって最低限の仕様設計で動くシステムを作り何か不具合が出たら、その都度、改善していく。
これが最善策だと私は考えます。
今回の架空の予約番号で予約出来てしまう状況は、不具合なのか、仕様設計なのか分かりません。
存在しない番号を弾くシステムを作るには、存在する番号を手に入れる必要があります。
存在する番号が国で一括管理されていれば、良いのですが、今回は地方ごとに発行されて一元管理が出来ていなかったみたいです。
つまり存在する予約番号を一元管理するためには、全国の役所からその番号を集めてデータベースに入れてその番号に合致しないとエラーで弾く仕組みが予想できます。
全国からデータを集めるのに1週間。
全国から送られてきたデータが間違っていないか確認するのに数日。
データベースに入れて検証とデバッグに1週間。
システムの開発期間は、早くても2週間以上は、伸びる事でしょう。
どのレベルでリリースするかは、仕様を設計した人の考えが含まれますが高い質を求めてしまうとリリースが遅れます。
そしてリリースが遅れても結局は、完璧なシステムなんて出来ません。
ITシステムには、完璧を求めずにその場の状況やユーザー数に合わせてバージョンアップする方が大事である。
私は、そう考えています。
今回は、予約番号が間違っていても予約出来ましたが言い換えれば、電話番号でも同じです。
自分の電話番号ではない番号いれてもきっと予約が出来てしまうでしょう。
また電話で予約する時にも本人が間違って番号を伝えたら同じです。
世の中には、適当な予約番号を入れて迷惑をかけたがる悪者がいるのも事実です。
しかしIT開発側は、その悪者対策のために時間とお金をかけて、リリースを遅らせるのか?
それともそんな迷惑行為はしないと信じて初期リリース時には、内緒で適当番号でも予約出来る仕様設計(ワクチン接種はできない)
次のバージョンで静かに改修していく。
「仕様設計」なのか「不具合」なのか?
ここは、結構大事なポイントだと思います。
コロナによって日本のIT化の遅れに国民全体が気付きました。
今後は、国民全体でITリテラシーを高め国のシステムに導入していく流れになるでしょう。
国民が完璧を求めるほど早さは、失われてお金(税金)もかかります。
IT開発における「早さ」と「質」について正しい知識を知った上で皆様は、どちらを選びますか?
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Source: サヤトレ